【8月21日 AFP】ロシア当局は21日、国内にある米ファストフード大手マクドナルド(McDonald's)の検査を全国規模で始めた。前日にはモスクワ(Moscow)市内のマクドナルド4店舗を一時的に営業停止にさせたばかり。一連の動きは欧米諸国による対ロシア制裁への報復とみられている。

 ロシアはウクライナ情勢をめぐって経済的打撃の大きな欧米との貿易戦争を激化させており、この東西関係を「新たな冷戦」と呼ぶ声も出ている。ロシア全土でのマクドナルド店舗の検査はこの新たな一手とされる。

 ロシアには非友好国に対する政治的武器として「食品安全上の不安」を用いてきた長い歴史がある。ロシアは消費者の安全性に懸念があるとしてウクライナ製品の輸入を禁止し、2008年にグルジアとの紛争に入る前にはグルジアからの輸入を停止した。

 米国と欧州連合(EU)諸国は、欧米との関係強化を選択したウクライナの分裂をロシアが画策したとして非難し、ロシア経済の広範囲に及ぶ制裁を実施した。これに対しロシアは欧米産食料の輸入を禁止。さらにソ連崩壊以降初めて西側諸国の製品を実質的に排除する強硬策も辞さないと警告している。(c)AFP/Dmitry ZAKS