【8月20日 AFP】(一部更新)イスラエルとパレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)を実効支配しているイスラム原理主義組織ハマス(Hamas)の双方は19日夜、一時停戦の失効を待たずに攻撃を再開した。ガザはパニックに陥り、エジプトが仲介している停戦協議も中断された。

 ガザの救急当局によると、ガザ市(Gaza City)への攻撃で女性1人と子ども1人が死亡、16人が負傷したという。またこれより先に行われた複数の空爆で、8人がけがをしたとしている。

 イスラエル軍の声明によると、少なくとも8発のロケット弾がイスラエルに向けて発射され、うち6発は空き地に着弾、2発はミサイル防衛システムで迎撃したという。

 これらのロケット弾攻撃は24時間の一時停戦が失効する数時間前に行われ、これを受けてイスラエルは、エジプト・カイロ(Cairo)で停戦協議に当たっていた交渉団に帰国を指示すると同時に、ガザに対する空爆を再開した。軍のラジオ放送によると、空爆対象は10か所以上に及んだという。

 これまで9日間比較的平穏だったガザ上空には再び戦火が戻り、エジプトの仲介で目指している長期的な停戦に向けた交渉努力にも暗雲が垂れ込めている。

 カイロ入りしているパレスチナ側交渉団のアザム・アフマド(Azzam al-Ahmed)代表は、一時停戦が延長の合意なしに20日午前0時に失効したことを受け、「停戦は崩壊した。責任はイスラエル側にある」と述べた。

 また、ハマスのファウジ・バルフム(Fawzi Barhum)報道官は声明で、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相が停戦努力を意図的に阻害していると非難し、今後ハマスは「状況の展開と現地の情勢を踏まえ、あらゆる選択肢を検討していく」という方針を示した。

 これに対しイスラエルを支持する米国は、ハマスを名指しで非難。米国務省のマリー・ハーフ(Marie Harf)副報道官は、「ガザ情勢の責任を負うのはハマスだ。ロケット弾はガザ側から発射された」と断じ、「きょうの事態の推移からすると、われわれは現時点で強い危機感を抱いている。停戦は崩壊したと理解している」と述べた。(c)AFP/Mai YAGHI