【8月11日 AFP】イスラエルの空爆によって街のあちこちががれきと化したパレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)で、主要な食料品の価格が高騰し始めており、すでに壊滅的なダメージを負っている同地区経済の状況がさらに悪化している。

 先週末、ガザ市(Gaza City)にあるシャティ(Shati)難民キャンプ内の市場は多くの人でごった返していた。しかしその多くは経済的苦境に立たされており、全体的な消費活動は控えめだった。

 イスラエルによるガザ地区への攻撃によって、地区内の農産物生産地域には大きな被害が出ており、これが価格高騰に大きな影響を与えている。

 イスラエルが空爆を開始した7月8日以降、卵はこれまでの10シケル(約300円)から20シケル(約600円)に値上がった。また、地元産のピーマンやトウガラシ、タマネギ、トマト、ジャガイモなども大幅に値上がりしている。

 価格の高騰は、空爆を恐れる生産者らが収穫・出荷作業に後ろ向きになっていることに加え、農産物を市内の市場へと運ぶ輸送業者らが、危険な地域の通行に慎重になっていることも関係しているようだ。

 ただ、イスラエル側から持ち込まれる果物の値段は変わっていない。ある店主は、「これがイスラエルのやり方だ。われわれを攻撃しておいて、彼らの農産物を運び入れるために検問所を開ける」と苦々しげに語る。

■50か所の工場が爆撃により崩壊

 ガザ地区商工会議所のマヒル・アルタバ(Mahir al-Tabaa)所長によると、経済および産業関連施設や居住用の建物が破壊されたことにより生じた直接的な損害は、およそ30億ドル(約3000億円)に上るという。しかし衝突によって、地域経済には「巨大で長期的な間接的損害」も生じていることを明らかにした。

 イスラエル側から持ち込まれ、政府がその値段を管理する石油の値段も変わっていない。しかし、野菜や肉などの食料品や他のさまざまな品物の値段は著しく高騰しているため、住民らにとっては「大きな負担」になっている。

 さらに同地区内では、大規模な戦略的工業施設50以上を含む産業施設350か所が破壊されており、今後は失業率の上昇も予想される。

 同氏は、「衝突が終わった後の失業率はおよそ50%になるだろう。約20万人が職にあぶれることになる。以前の失業率は41%だった」と説明した。(c)AFP/Tom Little