【7月28日 AFP】アフリカ原産のイネと野生種トマトの一種の遺伝情報が27日、公開された。干ばつに強い作物の開発につながる情報という。

 これら2種の遺伝子配列は、米科学誌ネイチャー・ジェネティクス(Nature Genetics)でそれぞれ個別に発表された論文で詳細に報告されている。

 イネに関する研究論文は「世界人口が現在の71億人から、2050年までに90億人以上に増加すると予測されている中、植物生物学者らは(水、肥料、農薬などの)投入量を削減して現在の2倍から3倍の収穫を上げる作物を開発し、第2の『緑の革命』を起こすことを求められている」と述べている。

「イネは、90億人の食物をどのようにして賄うかに関する問題の解決を助ける上で重要な役割を担うに違いない」

 遺伝情報が公開されたアフリカイネ(学名:Oryza glaberrima)は、より広く栽培されているアジアイネ(学名:Oryza sativa)に比べて、干ばつ耐性が高い。

 アフリカイネのゲノム(全遺伝情報)に固有の特徴の解明を試みた国際遺伝学者チームは、このイネが約3000年前にニジェール川(Niger River)に隣接する地域で野生種から栽培品種化されたことを明らかにした。これは、アジアイネの栽培品種化から約7000年後にあたる。

 個々のストレス耐性遺伝子を特定するにはさらなる研究が必要だが、今回の遺伝子情報の公開は、品種改良によって多収穫型で干ばつ耐性が高い作物の新品種を開発するための「かつてない機会」をもたらすと研究チームは指摘している。

 食用ではない南米産の野生種トマト(学名:Solanum pennellii)に関する2件目の論文では、乾燥耐性と、果実の形成と成熟に関連する重要な遺伝子の特定に成功している。

 同種の野生種トマトはすでに、広く栽培されている野菜種トマト(学名:Solanum lycopersicum)を異種交配によって品種改良するために利用されている。

 最新の遺伝情報は、品種改良でさらに味が良くストレス耐性の高いトマトを開発する助けになる可能性があると論文の執筆者らは述べている。(c)AFP