【7月23日 AFP】今年4月に起きた旅客船セウォル(Sewol)号の沈没事故で、22日になって先月12日に見つかっていた遺体が指名手配されていた、同号の運航会社の事実上のオーナー、兪炳彦(ユ・ビョンオン、Yoo Byung-Eun)容疑者(73)のものだったと発表した韓国警察に対しメディアなどから批判の声が上がっている。

 4月16日のセウォル号沈没事故では、多数の高校生を含む約300人が犠牲となり、警察は同号の運航会社「清海鎮海運(Chonghaejin Marine)」の事実上のオーナー、兪容疑者を実質的な責任者として行方を追っていた。ところが22日になって警察は、先月12日に順天(Suncheon)の畑で発見されていた遺体を兪容疑者のものと確認したと発表。遺体は腐乱が進んでいたが、DNA型や指紋が兪容疑者のものと一致したという。

 韓国主要紙はこぞって、多大な人的資源と資金をつぎ込んで、すでに警察の霊安室で遺体となっていた容疑者の行方を追っていた警察を記事や社説のなかであざけった。

 遺体が着ていた衣類は高級イタリアブランドのもので、そばにあったかばんの中には兪容疑者の自伝が入っていたというが、警察は当初、その遺体をホームレスのものと思っていたと説明していた。

 遺体の身元特定まで、これほど長くかかったことについて、中央日報(JoongAng Ilbo)は社説のなかで、せいぜい哀れというのが関の山だと述べた。

 発行部数が最大の朝鮮日報(Chosun Ilbo)は一面で、遺体の身元を特定するのに明々白々な手掛かり見逃す「あきれた」失敗との見出しで遺体の身元確認を伝え、「警察や検察の無能さには、ただあきれるばかりだ」と批判した。

 また、東亜日報(Dong-A Ilbo)は警察が遺体の歯型確認を怠っていたことを「全くばかげた過失」と断じた。(c)AFP