【7月8日 AFP】スイスで、士気が高まるとは言い難い現在の国歌を一新しようと新たな国歌を募集したところ、7日までに200人を超える作曲家らから応募があった。

 現在の国歌「スイス賛歌(Swiss Psalm)」については、神やアルプスへの言及が繰り返され天気予報と讃美歌を混ぜたようだとの批判も多い。この曲が国歌に定められたのは1981年のことだ。それまで使われていた国歌はメロディーが英国の「女王陛下万歳(God Save The Queen)」と同じで、混乱を招くこともあった。

 新しい国歌を募集した公益推進団体「Swiss Society for Public Good」のルーカス・ニーデルベルガー(Lukas Niederberger)氏によると、全部で215の応募があったという。内訳は人口約800万のうち話者が最も多いドイツ語の応募が129件、次に多いフランス語が69件、3番目のイタリア語は7件だった。最も話者が少ない公用語の一つロマンシュ(Rumantsch)語での応募も10件あった。

 選考ではまず、政治家、音楽家、ジャーナリスト、ヨーデルクラブや聖歌隊、スポーツ団体のメンバーで構成される審査団が来年までに10曲を選んでウェブサイトにアップする。その後国民の一般投票により最も人気が高い3曲が選ばれる。3曲は2015年9月に開催される音楽フェスティバルで演奏され、観客とテレビ視聴者の投票で新国歌候補の1曲が決まるという。

 これによって、直接民主制で名高いスイスの新国歌を選ぶ国民投票への道筋をつけたいとの狙いだ。

 通常、国歌が代えられるのは革命か社会混乱による場合がほとんどだが、平和で安定したスイスで革命などが起きたことはなない。

 現在のスイス国歌は、1841年、信仰とアルプスの美をたたえる詩を司祭が作曲して楽曲にしたもの。もともとの歌詞はドイツ語だったが、スイスの住民構成を反映して後にフランス語、イタリア語、ロマンシュ語の歌詞も作られた。(c)AFP