【7月2日 AFP】イスラム教スンニ(Sunni)派武装勢力「イスラム国(Islamic State)」の猛攻が続くイラクで1日、今年4月の議会選挙後初めて議会が招集された。過激派の鎮圧のため新政権の早期樹立を求める声が高まっているにもかかわらず、議員らは審議半ばで議場を後にしたり、脅迫的発言をしたりして、議会初日は混乱のまま幕引きを余儀なくされた。

 審議の緊張を緩和するためいったん休憩時間を設けたところ、スンニ派とクルド人の議員の多くが議場に戻らず、残った議員だけでは定足数に届かなくなった。このため議長選出には至らず、この日の議会は混乱のうちに閉会となった。

 イスラム武装勢力が5州の広い範囲を掌握する中、ヌーリ・マリキ(Nuri al-Maliki)首相が目指す3選は実現するどころか、宗派間対立をあおり権力を独占しているという以前からの批判が膨らむ一方となっている。

 世界各国の首脳陣が警戒を強めるこの危機で、数十万人が家を追われ、シーア(Shiite)派、スンニ派、クルド人に3極化する傾向はますます強まり、その分裂はこの日の議会初日にも表れていた。

 現行の取り決めで、首相にはシーア派アラブ人、議長にはスンニ派アラブ人、大統領にはクルド人がそれぞれ選ばれることになっており、この3職は相前後して選出されるのが通例。暫定議長を務めるマフディー・ハーフェズ(Mahdi Hafez)議員によると、もし各派の指導者らが人選で合意できれば、議会は8日に再招集される見通しだという。(c)AFP/Prashant RAO