【6月29日 AFP】北朝鮮は29日朝、弾道ミサイル2発を日本海(Sea of Japan)に向けて発射した。韓国国防省当局者が同日AFPに語った。2発とも公海上に落下したという。

 この当局者はミサイルの種類は明らかにしなかったが、韓国・聯合ニュース(Yonhap News)は韓国軍当局者の話として、発射された2発は射程約500キロの短距離弾道ミサイル「スカッド(Scud)」だったと伝えた。

 日本の小野寺五典(Itsunori Onodera)防衛相も報道陣に北朝鮮が複数の弾道ミサイルを発射したと発表し、北京(Beijing)の大使館ルートを通じて北朝鮮に対して厳重に抗議したと明らかにした。

 韓国軍によると、北朝鮮は3日前の今月26日にも3発の短距離ミサイルとみられるものを日本海に向けて発射している。

 北朝鮮は26日の発射について公式には確認していないが、翌27日に北朝鮮の朝鮮中央通信(Korean Central News AgencyKCNA)が、新開発された精密戦術誘導弾の発射実験を金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)第1書記が視察し、発射実験は成功したと伝えていた。

■中韓首脳会談けん制か

 中国の習近平(Xi Jinping)国家主席は就任後初めて、7月3日から2日間の日程で韓国を公式訪問する。中国の国家主席が在任中に、北朝鮮より先に韓国を訪問するのはほぼ20年ぶりとなる。

 韓国・ソウル(Seoul)のシンクタンク、KDN自主国防ネットワーク(Korea Defense Network)の申寅均(シン・インキュン、Shin In-Kyun)氏は、中韓首脳会談を前に習主席と韓国の朴槿恵(パク・クネ、Park Geun-Hye)大統領に圧力をかけるのが今回のミサイルを発射の目的だと指摘する。

 申寅均氏は、「中韓の指導者は、北朝鮮の核開発に歯止めをかける方策と、北朝鮮が核兵器開発を進めた場合の制裁についても話し合うだろう。北朝鮮は、中韓の指導者が北朝鮮を厳しく批判し過ぎないよう、事前に警告のメッセージを送っている」と述べた。(c)AFP