【6月23日 AFP】ドイツ税関当局が、ケイマン諸島(Cayman Islands)にあるスイスのプライベートバンクの支店が発行した、コンテナ2個分の銀行口座明細書を押収していたことが22日、明らかになった。ドイツ週刊紙ウェルト日曜版(Welt am Sonntag)が報じた。

 同紙によると、ハンブルク(Hamburg)の港に停泊していた船から見つかったのは、約1万4000冊のファイルにまとめられた書類で、1000個以上の段ボール箱に入っていた。段ボール箱は、スイス・チューリヒ(Zurich)に本店を構える、クーツ(Coutts)銀行の複数のケイマン諸島支店から発送されたものだという。同銀行は現在、英銀大手ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(Royal Bank of ScotlandRBS)の傘下にある。

 書類には、脱税の疑いのある複数のドイツ人の銀行明細書も含まれており、ドイツ検察当局と税務当局が調査を進めているという。

 積み荷は、カリブ海(Caribbean)の租税回避地と言われるケイマン諸島から発送されたもので、ジャマイカ(Jamaica)を経由してドイツ北部のハンブルクの港に寄港。最終目的地であるスイス・ジュネーブ(Geneva)に向かう予定だったという。クーツ銀行は最近、ケイマン諸島にある支店を閉鎖していた。

 ウェルト紙によると、クーツ銀行側は、スイスのデータセンターに向かう予定だった荷物の押収を確認しており、現在ドイツ当局と緊密に対応にあたっているとしている。

 書類を調査したノルトライン・ウェストファーレン(North Rhine-Westphalia)州当局は2012年にも、海外在住の独富裕層による脱税調査の一環としてクーツ銀行の取引データが入ったCDを押収している。(c)AFP