【6月21日 AFP】サッカーW杯ブラジル大会(2014 World Cup)でのスペイン代表の衝撃的な敗退は、普段から自国の敵を痛烈に攻撃し、金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)第1書記に関する報道を華々しく伝える北朝鮮の国営メディアにとって、格好の批判材料となったようだ。

 国営朝鮮中央通信(KCNA)によると、北朝鮮のサッカーファンたちは、大会から早々に姿を消すことになったサッカー大国スペインが得意とする複雑なパス回しによる「ティキ・タカ(tiki-taka)」スタイルは「使い古された」と言っている。

 北朝鮮はW杯に出場していないが、国営テレビは各試合の録画放送を行っている。KCNAによれば、この録画放送は「サッカーファンおよびテレビ視聴者の大きな注目を集めている」が、「スペイン代表チームの早期敗退によって、視聴者の多くに与えられたショックを超える衝撃はないだろう」としている。

 北朝鮮サッカー協会の幹部、ユ・ミョンウク(Yu Myong-Uk)氏はKCNAに対し、世界ランキングで下回るオランダを相手にスペインが「屈辱的な敗戦」を喫したことに「心から驚いた」と述べ、「スペインのティキ・タカは破綻してしまったように私にはみえる」と語った。

 平壌国際サッカー学校(Pyongyang International Football School)教諭のパク・チョルナム(Pak Chol-Nam)氏は、スペインの失敗は貴重なレッスンを学ばせてくれるという。

 パク氏は、「スペインの敗戦は、最も重要なことはライバルの戦術を把握し、それに賢く対処することだと教えてくれる。私の訓練生たちと一緒に、W杯の今後の試合からも得られる教訓や経験を学び、より科学的な根拠に基づいてトレーニングに取り入れたい」と語った。

 平壌(Pyongyang)のスポーツ紙には、多くのサッカーファンから試合の感想や、北朝鮮サッカーを発展させるための創造的な意見を述べる電話などが舞い込んでいる。今週のKCNAの報道によると、北朝鮮ではサッカー人気を反映し、W杯ブラジル大会の記念切手を発行したという。(c)AFP