【6月20日 AFP】微生物は、プラスチックを「食べる」だけでなく、微小なプラスチック片を海底に沈めることで、海面を漂う海のごみを減らす助けになっている可能性があるとの研究論文が19日、米オンライン科学誌プロスワン(PLOS ONE)に掲載された。

 論文を発表した豪ウエスタンオーストラリア大学(University of Western AustraliaUWA)の海洋学者チームによると、プラスチックに住む微生物は、世界中の海を浮遊している数百万トンのプラスチック片を生物分解しているように思われるという。

 研究チームは、豪州沿岸を漂う物質の画像1000枚以上を分析。今回の論文は「マイクロプラスチック」として知られるプラスチックの微粒子を餌とする生物群について記録した世界初の論文であり、多数の微生物や無脊椎動物の新種が世界で初めて記載されている。

 海洋学者のジュリア・ライサー(Julia Reisser)氏は「プラスチックの生物分解が海で起きていると思われる」と語る。「この『プラスチックを食べる』微生物は、陸上でのごみ処理方法を向上させるための解決策をもたらすかもしれない。非常にワクワクしている」

 大きさが5ミリ未満の粒子であるマイクロプラスチックは、外洋の自然環境を変化させる恐れがあると科学者らは警鐘を鳴らしてきた。

 国連環境計画(United Nations Environment ProgrammeUNEP)が2012年に発表した推計によると、海には1平方キロ当たり約1万3000個に及ぶマイクロプラスチックごみが存在し、これによる影響は北太平洋が最も深刻だという。

 ごみ埋め立て地でプラスチックを食べる微生物に関する研究は以前から存在したが、海に住む同様の微生物が海のごみに対しても全く同じように効果的である可能性があることの初期の兆候を、今回の研究で発見したとライサー氏は指摘する。

 同氏はAFPの取材に「陸生の微生物を用いる場合、それらを育てるには淡水が必要になり、この方法は非常に費用がかかる可能性がある」と語る。「だが海洋微生物を見つければ、海水で育つので(埋め立てごみを減らすための)安価な方法の1つになるかもしれない」

 またライサー氏によると、マイクロプラスチックを常食とする微生物として最も多くみられる微小な藻類の珪藻は、この小さなプラスチック片を、海面を移動するための「ボート」として用いていることが今回の研究で分かったという。

 珪藻の殻は二酸化ケイ素でできており、プラスチック片はそこに集まる珪藻の数が増えるにつれて、その重みで海底に沈んでしまうと思われる、と同氏は説明する。

 ライサー氏は、「この微生物の行動により、海面を漂うプラスチックの総量が、科学者らが予測した速さで増大してはいない理由を説明できるかもしれない」と付け加えた。(c)AFP