【6月17日 AFP】米国務省で16日、世界各国の首脳や科学者、関連各界の代表らが参加し2日間の日程で行われる国際海洋会議「私たちの海洋(Our Ocean)」が始まった。開幕に当たりジョン・ケリー(John Kerry)米国務長官は、世界の海が直面する危機に対し警鐘を鳴らし、地球のあらゆる命の源である海を守るための国際戦略の必要性を訴えた。

 乱獲や気候変動、汚染の問題に取り組んでいくため「計画を立てよう」と呼び掛けたケリー氏は、「われわれの星の4分の3近くを占める海ほど、人類が完全に共有しているものはない」として、「その海を守る義務も皆が共有している」と述べた。

 この会議には約80か国の首脳や大臣らをはじめ、漁業、プラスチック業界、農業の研究者や専門家らが出席している。

 太平洋の低海抜国、キリバスのアノテ・トン(Anote Tong)大統領は同国のフェニックス諸島(Phoenix Islands)保護区での商業漁業を2015年1月から禁止すると発表。「予想される歳入減は議論の大きな争点となったが、分析の最終段階で、有効な持続可能戦略を貫くためこの決断に至った」とトン大統領が述べると、会場から大きな拍手が巻き起こった。

 環境活動家らによると、フェニックス諸島には海洋生物の宝庫となっている手つかずの環礁が点在し、回遊魚やカメの他、サンゴ礁にすむ魚類やサメのすみかになっているという。

 国連人権理事会(UN Human Rights Council)は、ツバルやニュージーランド領トケラウ、モルディブなどと並んでキリバスを気候変動による海面上昇で「国土を失う」恐れのある島しょ国の一つとしている。

 会議2日目の17日には、バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領が同国の海洋保全地域に関するビデオ演説を行う他、海洋生物とその生息域の保全活動に数百万ドルを拠出している財団を設立した米俳優のレオナルド・ディカプリオ(Leonardo DiCaprio)さんもスピーチを行うことになっている。(c)AFP/Jo Biddle