【6月9日 AFP】米航空宇宙局(NASA)の火星有人探査ミッションは、その方法の見直しと、問題を克服するための十分に計画された明快な戦略を描かない限り失敗に終わると警告する報告書が、米国学術研究会議(National Research CouncilNRC)より発表された。

 NRCは米議会の指示で作成された報告書の中で、米政府は火星への有人飛行という目標を達成するための「足掛かり」を利用するべきだと指摘している。

 報告書が指摘する「足掛かり」とは、小惑星の探査、月面前哨基地の建設、さらには中国をはじめとする諸外国との国際協力関係の構築・強化などが含まれるようだ。

「現在の進路を進み続けることは、失敗やそれによる幻滅を招くとともに、有人宇宙飛行は米国の最たる得意分野だという長年の国際的な認識が失われることにつながる」とNRCは286ページにわたる報告書で述べている。

 NASAは報告書の調査結果を好意的に受けとめ、米議会とバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領政権により承認されたNASAの火星計画とは矛盾しないとしている。

 NASAは「今回の報告書とその提言の全てを全面的に再検討する」ことを約束したが、他の平行するプロジェクトに高いハードルを設けるために、人類が火星上を歩行するという目標を掲げることは価値があると主張した。

 NASAは、声明を発表し「有人宇宙探査の目標は火星だ。すべての潜在的な提携国による有人宇宙探査のための長距離宇宙計画はすべて、この目標に集中している」と述べている。

「有人深宇宙探査の持続可能な計画は、究極的な『水平線上の』目標を掲げる必要がある。こうした目標を掲げることで、計画を進める過程で発生する重大な技術上の障害および事故、さらには政治過程や経済情勢の予期せぬ変化などによって長期的な焦点が乱される可能性は低くなる」

 だがNRCの報告書によると、有人探査を宇宙のさらに遠方の領域にまで拡大するには、数十年に及ぶ取り組みと数千億ドルの資金調達、さらには「人命に対する重大なリスク」が不可欠になるという。