バーボン蒸留所のせいで家がカビだらけに、米ケンタッキー州
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■たる熟成をやめるメーカーも
問題のカビはBaudoinia compniacensisだと菌学者のスコット氏が確認したことを受けて、マクマリー氏は2012年、ケンタッキー州ルイビル(Louisville)で、次いでフランクフォートで裁判を起こした。
2社に対して起こした訴えは棄却された。ジムビームを含む2社に対する裁判はまだ続いている。もう1社に対する裁判は2年以内に始まる見通しだという。
メーカー側は、「一部の建物などが黒くなったのは、ウイスキー生産とは無関係の地域を含む広い環境で自然に発生するカビによるものだ」と主張している。
しかし訴えられた会社の1つで、ウイスキーのブランド「ジョニーウォーカー(Johnny Walker)」を持ち、コニャックの「ヘネシー(Hennessy)」も販売している世界的な酒造メーカーのディアジオ(Diageo)は昨年7月、ルイビルの大気汚染当局との間で、2015年末までにたる熟成作業をやめることに合意した。もっとも同社は、「これは自発的な約束であり──責任を認めるものではない」としている。
一方、大西洋を越えた仏コニャックでは、ミシェル・グランシャス(Michel Gourinchas)市長がケンタッキーの訴訟騒ぎを聞いて笑みを浮かべた。
コニャックの家々の壁も長くカビに覆われたままだが、「ここでは壁の黒さがその家の豊かさの指標になるのさ」と、市長はAFPに語った。「昔から、これが街の富を成しているんだ。だから私たちは不満を言わないよ。ケンタッキーの人たちはここに来るべきだ。私たちが説明してあげるよ!」(c)AFP/Ivan Couronne