【5月27日 AFP】ドイツとイタリアの二重国籍を持つ独新聞の編集者が、22~25日に行われた欧州連合(EU)の欧州議会(European Parliament)選挙で二重投票していたとテレビで暴露したことから罰金または禁錮刑が科せられる可能性が出ており、ドイツ国内で冷笑を買っている。

 ハンブルク(Hamburg)を本拠とする週刊紙ディー・ツァイト(Die Zeit)の編集者ジョバンニ・ディロレンゾ(Giovanni di Lorenzo)氏(55)は25日、テレビのトーク番組に出演した際に、自身は独伊のパスポート所持者で、欧州議会選ではドイツ国内のイタリア領事館で投票した後、地元の小学校でもう一度投票したと語った。

 すると同じ番組に出演していたウォルフガング・ショイブレ(Wolfgang Schaeuble)財務相は、これを聞くとすぐさま頭を振り「他の人たちは一度しか投票できないのに、何度も投票する人がいることは正しくない」と述べた。

 ディロレンゾ氏のテレビ告白に対するドイツ当局の動きも素早く、詐偽投票の疑いでディロレンゾ氏に対する捜査を開始したと発表した。有罪となれば罰金または最長5年の禁錮刑が科される可能性がある。

 こうした事態にディロレンゾ氏は「2か国での投票が認められていないとは知らなかった。もし知っていたら、そんなことはしなかったし、もちろん(テレビでは)話さなかった」と地元メディアに釈明した。

 だが、皮肉にも同氏が勤めるディー・ツァイト紙は欧州議会選の数日前、同選挙における二重国籍問題についての詳細記事をインターネット上に配信しており、その中でEU市民に認められた投票回数は1回のみと明記していた。(c)AFP