【5月27日 AFP】人種差別を風刺するスペインのテレビ番組で、背景に反中国的な看板が映っていたことについて中国政府が22日、激しく非難した。

 スペインのテレビ局テレシンコ(Telecinco)のバラエティー番組「アイダ(Aida)」では今月中旬の放送回で、バー店内にイヌを連れて入ることを禁止する看板に、バーのオーナーが「それと中国人もお断り」と書き加えるシーンがあった。

 テレシンコは声明で、バーのオーナーである「マウリシオ・コルメネロ」という男性の登場人物は「人種差別主義者で狂信的愛国主義者でファシストで、われわれの社会に望んでいないもの全てを体現しているような存在」を風刺的に描写したのだと述べた。だが、この風刺は中国外務省の洪磊(Hong Lei)報道官には通じなかったようだ。

 洪報道官は北京(Beijing)での定例会見で、この番組は中国に対する侮辱だと非難し「スペインのこのテレビ局は、中国を侮辱するテレビ番組を繰り返し放送し、中国たたきをすることで視聴者受けを狙った」と非難した。さらに「われわれは同テレビ局に対し、自らの過失を認めて公正を求める世論の声を真剣に受け止め、過ちを訂正することを要求する」と述べた。

 西洋列強が中国の一部を支配していた時代、上海(Shanghai)の公園の入り口には「イヌと中国人、入るべからず」と書かれた看板が掲げられていたとされ、中国共産党はこの話をプロパガンダに用いてきた。その後も中国で語り継がれ、ブルース・リー(Bruce Lee)の映画『ドラゴン怒りの鉄拳(Fists of Fury)』(1972)にも登場した。だが多くの歴史家は、この看板は実在しなかったと述べている。(c)AFP