番組は、米英双方のステレオタイプに挑戦するのではなく、むしろ迎合する。ヒックスさんは執事と庭を散歩しながら「アメリカ人ってすごくうるさいな」とつぶやく。

 自分にあふれんばかりの自信を持つミーガンさん(25)は「私って頭が良くて、ホットで、料理も掃除もできて、ビキニを着たら超セクシーよ。高級なものが好きなの」と宣言。女性らはおとぎ話のような人生やロマンスについて夢中になって語ったかと思えば、次の瞬間には意地の悪い発言や中傷で互いを攻撃し始める。

 女性の中には、ヒックスさんが本当に王子だと信じている人もいるようだ。ある女性は「もしヘンリー王子なら、本当に、本当に超クレイジーなんだけど!」と興奮した様子で語った。

 いずれにせよ、評論家たちは思う存分その手腕を発揮している。

 ニュースサイト「デーリー・ビースト(Daily Beast)」は同番組を「どうでもいい」「先が読めて退屈」と切り捨て、ヒックスさんを「駄目な偽者」と酷評。「徹底的にセンセーショナルなネタがないと──ヘンリー王子が起こした悪名高き出来事、例えば2005年にナチス・ドイツの制服を着た時や、2012年にラスベガス(Las Vegas)で起こした全裸ビリヤード騒動を再現するなど──最終回になるまで、再び番組を見る理由は全くない。もし最終回に(見る価値が)あればの話だが」と、冷ややかな論評を展開した。

 また米公共ラジオ局(National Public RadioNPR)は登場する女性らに矛先を向け、「皆そろいもそろって、番組が自分の鼻先にぶらさげた物を必死でほしがる幼稚な貪欲さと、そんなことが本当にあると信じる間抜けさをさらしている」とこきおろしている。(c)AFP/Jennie MATTHEW