【5月15日 AFP】世界中の女性7億人以上が夫やパートナーから暴力の被害を受けており、その多くには被害から保護される権利がほとんど保障されていないとする報告書を、世界銀行(World Bank)が14日、発表した。最悪の状況にあるのは、5人に2人以上がこうした暴力被害の経験を持つ南アジアとアフリカだという。

Voice and Agency(声と行為主体性)」と題されたこの報告書で世銀は、女性が直面する家庭内暴力やその他の体系的な不利益・損失は、女性の功績を制限し、数億人の女性たちを貧困にとどめている重要な要因だと指摘した上で、女性の地位向上と昇進に向けての社会的・法的障壁の排除は、社会のより幅広い層にとっての利益になると論じている。

「こうした損失や制約に関する問題の克服は、極度の貧困をなくし、繁栄の共有を促進するための取り組みの中核を成すものだ」という。

 報告書はこのほか、世界中の女性がいかに「行為主体性」(自らの努力によって状況を打破する能力)を否定されているかについても、家庭内暴力以外にも多数の例を挙げて説明。これには、女性が男性に比べ土地を所有することがはるかに難しいこと、一部の国では許可無しでの移動が禁じられていること、権力ある地位を持つ女性が世界中で非常に少ないことなどが含まれる。

 特に10代の妊娠の問題は深刻で、発展途上国では5人に1人の女性が18歳未満で妊娠しているという。これにより失われる収入を基に計算すると、この問題による経済的損失は、中国では国内総生産(GDP)の1%、ウガンダでは同30%に相当するという。

 また、性差に基づく暴力は各国・地域の国内総生産(GDP)を1.2~3.7%押し下げている可能性があるという。(c)AFP