■上昇を続ける海面

 国連(UN)の「気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate ChangeIPCC)」が昨年9月に発表した試算では、海水温度の上昇で発生する氷の融解や海水の膨張によって、2100年までの海面上昇は26~82センチとなるとみられている。

 海面が上昇すると、嵐による高波や陸地に接近する強力な低気圧の影響を受けやすくなり、沿岸地域での洪水リスクが高まる。そのため、多くの国では、海岸線や河口地域にある海面上昇の影響を受けやすい都市を守るために、コンクリート製の壁や防波堤の建設計画を視野に防護計画を立てているという。

 ベック氏の研究チームは、サンゴ礁の保全・再生のための費用や、漁業や観光などの資源をもたらす可能性のある利点に関してさらに明確に把握するためには、今後さらなる研究を重ねる必要があると指摘している。(c)AFP/Richard INGHAM