【5月8日 AFP】巨額の相続税の支払いに困った英国貴族が、風光明媚な湖水地方(Lake District)にある先祖伝来の山を売りに出した。

 この貴族は、第8代ロンズデール伯爵(Earl of Lonsdale)ヒュー・ラウザー(Hugh Lowther)氏。イングランド(England)北西部の人気観光地・湖水地方に所有するブレンカスラ(Blencathra)山(標高868メートル)を含む約1083ヘクタールの土地を、175万ポンド(約3億円)の売値で売却し、相続税の支払いの一部に充てようとしている。

 報道によると、伯爵は父親の死去に伴い、900万ポンド(約15億5000万円)もの相続税を支払わなければならなくなった。英国では相続財産が32万5000ポンド(約5600万円)を超える場合、超過分の資産に対し一律40%の相続税が課税される。

 伯爵によればラウザー家は、形状から「馬の鞍(Saddleback)」の異名で知られるブレンカスラ山と、そこに建てられたマナーハウス(邸宅)を過去400年以上にわたって所有してきた。その由緒ある領地を「売らざるを得なくなった」ことについて、伯爵は「非常に大きな損失だ」と述べている。

「だが、2006年に父が死去したことに伴う相続税支払いのためには、資産を現金化しなくてはならない。私たちの目的は、ロンズデール伯爵家の遺産の中核的な部分をできるだけ無傷の状態で手元に残すことだ」(同伯爵)

 ブレンカスラ山の購入者は、封建時代にこの土地の所有者が名乗っていた「スレルケルド荘園領主(Lord of the Manor of Threlkeld)」の名称の使用が認められ、独自の紋章を紋章院に申請することも許される。また、雌羊5471匹と若羊732匹、子羊200匹の放牧権も併せて手に入れることになる。(c)AFP