【5月3日 AFP】陸上・男子短距離のタイソン・ゲイ(Tyson Gay、米国)が、禁止薬物の使用に対する処罰として米国反ドーピング機関(United States Anti-Doping AgencyUSADA)から1年間の出場停止を言い渡された。

 これを受けてゲイは、2012年のロンドン五輪で獲得した銀メダルを米オリンピック委員会(US Olympic CommitteeUSOC)に返還している。

 USADAは2日、同機関と国際陸上競技連盟(International Association of Athletics FederationsIAAF)によって実施された2度の抜き打ち検査と大会開催時の検査において、採取されたゲイの尿サンプルからアナボリック・ステロイド(anabolic steroid)の陽性反応が出たと発表した。

 ゲイは1年間の出場停止に同意しており、尿サンプルが採取された昨年6月23日の全米陸上選手権(USA Outdoor Track & Field Championships)から、処分が適用される。

 抜き打ち検査と大会での採尿が短期間で行われたことから、ゲイのドーピング違反は1回としてカウントされる。

 1年間の出場停止処分と同時に、ゲイは最初に禁止物質を含む製品を使用したとされる2012年7月15日からのすべての記録を剥奪されることになり、銀メダル獲得に貢献した4×100メートルリレーなど、数々の努力が水の泡となった。

 USADAは、ゲイがすでにUSOCへメダルを返還したことを明らかにしている。

 違反が明らかになって以降、ゲイは目前に控えていた第14回世界陸上モスクワ大会(14th IAAF World Championships in Athletics Moscow)をはじめとする、すべての大会を欠場した。

 ゲイはまた、陽性反応が出た際に使用していたすべての製品をUSADAに報告し、調査に協力することにも同意している。

 USADAのトラビス・タイガート(Travis Tygart)会長は、「通達と同時に競技から離れ、自身の行いに対する責任を取り、本件を取り巻く状況を明らかにすることに誠心誠意取り組もうとする、タイソンの正しい決断に感謝する」とコメントした。

 違反者は調査に協力することで、最高75パーセントの処分軽減を受けることができ、ゲイの処分も通常USADAの規定で科される2年間から、1年間に短縮されている。

 IAAFと世界反ドーピング機関(World Anti-Doping AgencyWADA)からの申し立てがあれば、停止期間は前後する可能性もある。(c)AFP