【5月2日 AFP】(一部更新)薬物使用を認めつつも今年秋の市長選で再選を目指すことを表明しているカナダ・トロント(Toronto)のロブ・フォード(Rob Ford)市長(44)が4月30日、市長職を休職してリハビリ施設へ入所する意向を明らかにした。一方、トロント市警察当局は5月1日、コカイン吸引中のフォード市長とされる新たな動画が報じられたことを受け、市長の違法薬物使用に関する捜査を再開した。

 フォード市長は昨年、薬物を吸引する様子を映したとされる動画の存在が明るみに出て大きなスキャンダルとなった。泥酔状態での不品行についても何度も批判を受けており、トロント市議会は同11月、市長権限の大半を剥奪(はくだつ)した。

 しかし、市長は泥酔やクラック使用を認めた上で、10月27日の市長選で再選を目指すと表明。先月、再選キャンペーンを立ち上げたところだった。

 今回問題とされているのは、地元紙グローブ・アンド・メール(Globe and Mail)が報じた数日前のものとされる動画。同紙が掲載した動画の静止画写真には、市長が金属製のパイプを手にしている様子が写っている。パイプには喫煙タイプのコカイン「クラック」が入っているとみられ、同紙記者らが確認したという動画の中でフォード市長は、右手を震わせながら煙の立つパイプを吸っていたという。

 同紙によると、この動画を撮影したのは薬物の密売人を自称する人物。4月26日未明に市長の姉妹キャシー(Kathy Ford)さんが住むマンションの地下で撮ったものだという。同紙はさらに、この人物が問題の動画を「最低6桁」の額、つまり10万カナダドル(約930万円)以上で売ろうとしていることや、キャシーさんにも薬物の問題があることを伝えている。

 一方、カナダ大衆紙トロント・スター(Toronto Star)によれば、市長は4月30日遅くに出した声明で「私にはアルコールの問題がある」「しばらくこの問題と闘ってきた」と告白。「私自身の幸せと、どうすればトロント市民に最も尽くせるか、また私の家族にとって最善の選択は何かを時間をかけて考えた結果、(再選)キャンペーンと市長の職責から離れて直ちに治療を受けようと決心した」と表明したという。

 またフォード市長の代理人の1人が報道陣に語ったところでは、フォード氏は「薬物乱用の問題を抱える人々を支援する施設」への入所を考えているという。(c)AFP