【4月22日 AFP】韓国南西部・珍島(Jindo)沖で16日に起きた旅客船セウォル(Sewol)号の沈没事故を調べている同国の検察当局は、事故当時の状況を調べるため、人気のスマートフォン用チャットアプリのメッセージを分析している。

 救出された乗客らは、船が急激に傾き始めた際、乗員からその場を動かないように指示されたと話しており、この指示によって避難が遅れ、犠牲者が増えた可能性がある。

 事故調査では、乗組員の行動や、乗客への脱出指示がいつ出されたのか(あるいは出されなかったのか)に焦点が当てられている。捜査当局はこれを調べるため、韓国のスマートフォン利用者の約90%が利用している人気チャットアプリ「カカオトーク(Kakao Talk)」の通信記録を大量に収集している。

 ある検事は報道陣に対し「われわれは事故当時に乗客らがカカオトークで交わした会話を捜査に利用しようとしている」と語った。検察当局は全乗組員の通話記録も収集した。

 韓国メディアは、混乱に陥った沈没直前の船内の様子をうかがわせる乗客たちの悲痛なメッセージを伝えている。

 ある少女は父親に「お父さん、心配しないで。救命胴衣を着ていて、他の子とも一緒だから。船の中の廊下にいる」と送信した。父親が必死に、すぐに避難するよう返信すると少女は「お父さん、無理。船が傾きすぎていて。廊下は人でいっぱい」と返信し、これが少女からの最後のメッセージとなった。(c)AFP