■教えられないのは『ピエロ』の演じ方

 総会でペドラーさんは、エメット・ケリー(Emmett Kelly)やバスター・キートン(Buster Keaton)など過去に活躍した有名なピエロのDVDを、6~15歳の新世代のピエロたちに見せた。

「ピエロは風船を膨らましたりパイを誰かの顔に投げつけたりするだけではないことを教えたい」とペドラーさん。スキルと集中力が求められるアートであることを伝えたいのだという。

 また「教えられないのは『ピエロ』の演じ方だ。スキルは教えられる。でも観客がどう感じてどう反応するかを理解していなければいけない」としながら、「赤い鼻をつけてフェイス・ペイントを塗っただけでピエロにはなれない」と続けた。

 米フロリダ(Florida)州オーランド(Orland)出身のアリー・アルバレス(12)さんは、ペドラーさんの弟子の1人だ。まだ始めたばかりというアルバレスさんは、「人を笑わすのは楽しいと思う」と話す。

 彼女の母親も祖母もピエロだった。総会で新しい技を学んで披露したアルバレスさんは「みんな笑ってくれた」と嬉しそうだ。だが彼女にとってピエロはあくまで副業で「週末だけ。本業でやるには大変すぎる」と話す。

 現在、フルタイムで働いているピエロはごくわずかだ。それでも年次総会は彼らをつなぐ貴重な場所となっている。

 またボランティアの他、演説やスタンダップコメディーなど他の職業の役に立てるためにピエロをやっている人も多いという。

 総会では、さまざまなスキルのセミナーが開かれた。フェイス・ペインテイングやマジック、ジャグリングなどだ。

「人々はピエロのコスチュームを着たらピエロになれると思いがちだ」と、フルタイムのピエロであるハートマイアー氏は話す。「それは怖いメイクをしただけの未熟なピエロ。観客にどうやって近づいたらいいかもわからず、子供たちを怖がらせるだけのピエロだ」と続ける。

 ハートマイアー氏は、「笑いは本当に最高の薬。ピエロは人々の心に触れ、奇跡を起こすことができる」とし、セラピストの役割を果たせるようになったらピエロは最高の職業になると述べた。(c)AFP/Mark Guarino