【3月22日 AFP】米ハワイ(Hawaii)州の警察が、売買春を取り締まる州法の改正案で削除されていたある条項の復活を求めたことで、猛烈な批判を受けている。

 問題の条項は、職務中の法執行機関の職員に売春婦と性的関係を持つことを認める内容。

 先月開かれた議会の委員会でハワイ州警察風俗犯罪取り締まり部門のジェリー・イノウエ(Jerry Inouye)氏が、売春業者は客がおとり捜査官でないか調べる「コップ(警官)チェック」を行っていると証言するなど、州警察はおとり捜査を台無しにしないために捜査官が本物の客の振りをしなければならない場合もあると主張している。

 しかし、この条項は捜査関係者が地位を乱用し、売春婦に性的行為を強要する危険を高めるという批判も出ている。

 反人身売買を訴える同州の団体「パシフィック・アライアンス・トゥー・ストップ・スレイバリー(Pacific Alliance to Stop SlaveryPASS)」のキャスリン・ジアン(Kathryn Xian)代表は、この法律が残っていたのは「売春は被害者のいない犯罪だ」という非常に古い考え方があるからだと指摘し、警察は売春に対する時代遅れの考え方を守ろうとしていると批判した。

 地元メディアによると、米連邦捜査局(FBI)の元捜査官で性犯罪取り締まりの専門家、ロジャー・ヤング(Roger Young)氏は、おとり捜査を行う法執行機関の職員にこのような行為を認めている米国の連邦法・州法は他に知らないと述べ、ハワイ州警察の主張を擁護するのは難しいという見解を示した。(c)AFP