■中国当局の「締め付け」か

「香港晨報」は年内に発行予定の中国語日刊紙。19日、利婉嫻(Lei Lun-han)執行副総裁と報道部の幹部、林建明(Lam Kin-ming)氏の2人が、九龍(Kowloon)半島の繁華街、尖沙咀(Tsim Sha Tsui)で日中、4人組の男に鉄パイプで襲われた。

 同紙は2月、発行資金は「地元」で集めるとの声明を発表し、中国本土の干渉は受けない意志をほのめかし、さらに「香港の人々を代弁するため力を尽くす」「今の香港には、バランスの取れた信頼性の高い新聞が必要だ」などと宣言していた。

 一方、先月下旬に襲われた劉氏は香港のリベラル紙「明報(Ming Pao)」の編集長を務めていたが、襲撃の数週間前に突然更迭されている。後任には中国政府寄りの人物が就いた。この更迭騒動を受けて香港では、中国政府が香港への締め付けを強めているとの懸念が高まった。

■暴力、脅迫、干渉の暗雲

 こうした事態に香港記者協会(Hong Kong Journalists Association)は「深刻な懸念」を表明。香港外国記者会(FCC)も一連の襲撃事件について「香港メディアを覆う政治や商業的利益を動機とした暴力や脅迫、干渉の暗雲が深く垂れこめつつあることを裏付けるものだ」との声明を発表した。

 米国務省のジェン・サキ(Jen Psaki)報道官も19日の記者会見で、この1年間に香港のメディア関係者を狙ったとみられる襲撃が相次いでいると指摘。「香港は法の支配を尊重し、報道の自由など基本的な自由があることで世界的に知られている。その伝統は、国際ビジネス拠点としての香港の成功と名声に欠かせないものだ」と述べている。(c)AFP/Laura MANNERING