【3月19日 AFP】ウクライナ問題をめぐり東西対立が深まる中、ロシアと米国を含む主要6か国は18日、オーストリア・ウィーン(Vienna)でイランとの核協議を開始した。

 国連安全保障理事会(UN Security Council)の常任理事国(米英中仏露)にドイツを加えた6か国(P5+1)とイランによる同日の会合は、昨年11月に結んだ暫定合意を7月までに永続的な合意にすることを目指す2回目の協議。

 これまで6か国側は、シリア内戦などの問題で意見の違いがあっても、対イラン政策では足並みをそろえてきた。しかし過去数週間のウクライナ情勢により、東西関係は冷戦終結後最悪の危機に直面している。

 その緊張にもかかわらず、欧州連合(EU)のキャサリン・アシュトン(Catherine Ashton)外交安全保障上級代表(EU外相)の報道官は、6か国側は「引き続き団結」しており、対イラン協議への「悪影響はない」ようだと述べた。

 しかし、かつて米国務省(US State Department)に勤務し現在は英シンクタンク「国際戦略研究所(International Institute for Strategic StudiesIISS)」に在籍するマーク・フィッツパトリック(Mark Fitzpatrick)氏は、今広がりつつある危機のため「以前よりもさらに悲観的になっている」という。同氏はAFPに対し、「イラン問題で結束するためにロシアが犠牲を払う可能性は低くなるだろう」として、イランは「今や、6か国側の出方を待とうとする動機が強まっている」と語った。

■「永続的合意」

 仮にウクライナをめぐる対立を抜きにしても、イランとP5+1が永続的合意に至るのは容易ではないとみられる。昨年11月の暫定合意に基づき、イランは核計画の主要部分を凍結し、その見返りに若干の制裁緩和と、6か月間は新たな制裁を発動しないという約束を取り付けた。この暫定合意は、延長の可能性もゼロではないものの、現時点では7月20日に期限切れを迎えることになっている。

 6か国側は、イランによる核兵器開発が極めて困難になるよう、イランの核活動の範囲を永久に、もしくは少なくとも長期にわたって縮小させたい考えだ。それと引き換えに対イラン制裁が解除されるとしても、同国の最高指導者アリ・ハメネイ(Ali Khamenei)師を取り巻く超保守勢力がそのような制限を受け入れるかどうかは依然として全く不透明だ。

 このウィーンでの協議は19日まで続けられる予定。(c)AFP/Simon STURDEE