【3月12日 AFP】米ルイジアナ(Louisiana)州で死刑囚として30年間獄中生活を送ってきた男性が、裁判所によって殺人罪での有罪が取り消され、釈放された。

 グレン・フォード(Glenn Ford)さん(64)は、1983年に起きた殺人事件で有罪となり、米国の死刑囚の中でも最長に入る30年の間、収監されていたが、新たな情報によってえん罪が晴れ、11日にルイジアナ州立刑務所(Louisiana State Penitentiary)から釈放された。フォードさんは刑務所前で報道陣に対し「色んな方向に思いがめぐっているが、気分はいい」と語った。

 陪審員が全員白人からなる裁判で有罪となったアフリカ系米国人のフォードさんは「私が去ったとき、息子たちはまだ赤ん坊だった。今ではみんな大人になって、子どももいる。私の人生の、全部ではないが、30年は取り戻せない」とも述べた。

 フォードさんはこれまで、1983年11月5日に宝石商のイザドア・ロズマン(Isadore Rozeman)さんが自分の店のカウンターで射殺された時、現場にいなかったと主張し続けてきたが、新たにもたらされた情報はフォードさんの主張を裏付けるものだった。

 米CNNテレビによると、人権擁護団体アムネスティ・インターナショナルUSA(Amnesty International USA)は「グレン・フォードさんは、わが国の司法制度にいかに欠陥があるかを示す、生きた証拠だ。全員白人の陪審員によって有罪とされたアフリカ系米国人のフォード氏が、生きて死刑囚監房を後にできることに心動かされている」と声明を発表した。

 また米CBSテレビによれば、ルイジアナ州法では、収監された後にえん罪が晴れた人物は補償を受ける権利がある。不当な投獄については収監1年につき2万5000ドル(約250万円)で最高250万ドル(約2500万円)までが支払われ、さらに「人生の機会」の喪失について8万ドル(約800万円)が払われるとしている。(c)AFP