■言葉の壁による「誤解」?

 ニューズウィーク記事の重要なポイントは、ナカモト氏が自宅を訪ねてきた同誌記者に「私はもうそれには関わっていないので、その件で話すことはできない」と玄関先で語ったという点だ。これについてナカモト氏は、母語が英語ではないため誤解が生じたとAPに説明している。

「まるで、私が以前はビットコインに関わっていたが今は関与していないかのように聞こえる。でも、私の言いたかったことは、そうではない。そこを明確にしておきたい」。ナカモト氏はニューズウィーク記者とのやりとりについて、このように述べた。「言いたかったのは、私はもう技術の世界とは関係ないということだ。それだけだ」

「それに、仮に現役だったとしても、契約書には契約期間中と契約満了後の守秘義務に関する条項があって、署名を求められる。それを(記者に)伝えたつもりだった」(ナカモト氏)

 2009年に立ち上げられたビットコインは、違法薬物取引や資金洗浄に利用されて問題にもなっているが、金融界に革命をもたらしたとして称賛されている。

 ナカモト氏に関するニューズウィークの記事について推進団体「ビットコイン財団(Bitcoin Foundation)」は、「特定された人物がビットコイン考案者だという証拠は、今のところゼロだ」とのコメントを発表し、確証はないとの立場を示している。ビットコイン開発チームと「ナカモト氏」との接触はインターネットを介してのみ行われたため、開発チームの誰一人として「ナカモト氏」の身元を知ることはなかったという。(c)AFP/Fred Brown