【2月20日 AFP】東京電力(TEPCO)は20日、福島第1原子力発電所で新たに100トンの高濃度汚染水がタンクから流出しているのを確認したと発表した。

 東電によると、流出は既に止まっており、封じ込めに成功したとみられるという。また、流出が起きた場所は海から遠く、付近に排水路もないため、汚染水が海に流入した可能性は低いとしている。

 漏れを起こしたタンクは海岸から700メートルほど内陸に設置され、損傷した原子炉の冷却に使われた汚染水を保管している。タンク内の汚染水はセシウムを除去するフィルターを通った後のものだが、骨に蓄積してがんを引き起こす恐れのあるストロンチウムなどが含まれており、流出した汚染水からは、ベータ線と呼ばれる放射線を出す放射性物質が1リットルあたり2億3000万ベクレルという高濃度で検出されたという。

 ストロンチウム90などが放出するベータ線は人体に極めて有害で、DNAを損傷させる。だがベータ線は防護は比較的容易で、薄いアルミニウム板で遮へいできる。

 東電は前日、福島第1原発の2号機原子炉の圧力容器底部で動作していた2個の温度計のうち1個が故障したことを発表したばかり。2号機の圧力容器には9個の温度計があったが、現在は1個しか動作していない。(c)AFP/Kyoko HASEGAWA