【2月18日 AFP】100人もの人々が、自分たちの生きた体を科学の目にさらし、それぞれの健康を増進する方法を探るという、前代未聞のプロジェクトが、米国で3月に始まる。

「ハンドレッド・パーソン・ウェルネス・プロジェクト(Hundred Person Wellness Project)」では、被験者の健康状態が24時間休みなく観察される。まず各被験者の全ゲノムを解析した後、25年間にわたり睡眠パターンや心拍数、腸内細菌、臓器の健康状態の指標となるタンパク質、血液サンプル、免疫細胞活動などの項目を定期的に測定する。

 14日の米国科学振興協会(American Association for the Advancement of ScienceAAAS)年次会合でプロジェクトについて発表した米システム生物学研究所(Institute for Systems Biology)所長のリーロイ・フッド(Leroy Hood)氏は、「人間がユニークなのはその個別性だ」と話す。

 被験者は全て、プロジェクト開始時に健康体とされる人々。プロジェクトの目的は「心臓や脳、肝臓が健康な状態から病気へと推移するのを実際に追う」ことと、それぞれの体に合わせた健康促進方法を探ることだという。健康増進のため食事をどう改善したらよいか、被験者の遺伝子構造から危険と推測される薬をどう避けるかなど、各人が「実行可能な」方法を探す予定だと、フッド氏は話している。

 プロジェクトは9か月間の試験プログラムを経て、4年以内に被験者数を10万人に、観察期間を最大30年間に、それぞれ拡大する予定だ。英科学誌ネイチャー(Nature)が先週掲載した記事によると、プロジェクトの費用は被験者1人当たり1万ドル(約102万円)ほどになる見込み。同誌はこのプロジェクトを「並外れて徹底的」と表現している。