それでも、世界選手権で3度の優勝経験をもつプルシェンコは、それよりも五輪慣れしていないスケーターも多いロシア代表選手たちに気をもんだという。

「彼らはみんな強い選手だが、中には(冬季五輪での)演技が初めての選手もいたので少し緊張したよ」

 自身が生まれる前に金メダルを手にしていた選手に囲まれながら、リプニツカヤはその経験値の低さをものともせず、先輩たちを上回る滑りを披露した。

 映画『シンドラーのリスト(Schindler's List)』のテーマに合わせた演技で華麗な舞を見せたリプニツカヤは自己最高の141.51点をたたき出し、米国のグレイシー・ゴールド(Gracie Gold)、イタリアのバレンティナ・マルケイ(Valentina Marchei)を上回る得点で首位に立った。

 リプニツカヤはそのときの心境をこう振り返った。

「エフゲニーが首位に立った後での演技に少し緊張した。チームをがっかりさせたくなかったから」

「演技を終えたあと彼はとても喜んでくれて、キスアンドクライでおめでとうと言ってくれた。今日の目標はチームの足を引っ張らないことだったわ」

(c)AFP/Emmeline MOORE