【1月28日 AFP】チュニジアの指導者らは27日、制憲議会が前日に承認した新憲法に署名した。「アラブの春」の発端となった同国の革命の鍵となる目標の1つが、3年越しでようやく達成された。

 同国の制憲議会で開かれた式典の中で、近く退任するイスラム系のアリ・ラアレイエド(Ali Larayedh)首相、ムスタファ・ベン・ジャーファル(Mustapha Ben Jaafar)議長、そしてモンセフ・マルズーキ(Moncef Marzouki)暫定大統領の3人が、アラブ世界で最も進歩的な憲法の1つとみなされるこの歴史的な文書に署名した。

 マルズーキ暫定大統領は署名に先立って議会に対し、「この文書の誕生により、独裁に対するわれわれの勝利を確認する」と語った。

 起草に2年以上費やされたこの憲法は、官報での発表を経て、今年中に実施予定の議会と大統領の選挙の前に段階的に発効する。同国で有力なイスラム系政党「アンナハダ(Ennahda)」は、両選挙が10月に行われるとの見通しを示している。

 憲法が26日、賛成200票、反対わずか12票という圧倒的多数で承認されると、議員らは抱き合ったり国旗を振ったり、国歌を歌ったりして議場は祝賀ムードに包まれた。同国ではここ数か月間、政局の危機にイスラム勢力が関与しているとされる暴力行為、社会不安が続いてきたが、この日の憲法承認で2011年1月にジン・アビディン・ベンアリ(Zine El Abidine Ben Ali)元大統領の独裁政権を崩壊に導いた民衆蜂起が目指したものの少なくとも一部は実現の目途が立ったことになる。

 この動きについては他国首脳らも、同じく「アラブの春」を経験したリビアやエジプトといった国々が政情不安に直面している中で、チュニジアは希望の光だと歓迎する姿勢を示している。(c)AFP/Kaouther LARBI