【1月21日 AFP】ウクライナの首都キエフ(Kiev)で20日、同国で新たに成立したデモ活動規制法に抗議する反政権デモが2日目を迎え、警官隊との激しい衝突が続いた。

 同国では、欧州連合(EU)加盟の前提となる連合協定の署名を見送ったビクトル・ヤヌコビッチ(Viktor Yanukovych)大統領に抗議するデモが2か月近く続いている。19日に始まった衝突による負傷者は200人を超えるなど、同市で近年起きた中でも最悪の事態となり、同国で高まる緊張を示す事例となった。

 暴力行為は夜を徹して20日未明まで続き、その後夜が明けると気温がマイナス10度まで下がっているにもかかわらず国民数千人が再び街頭に戻ってきた。衝突の中心地となっているディナモ・キエフ(Dynamo Kiev)・サッカースタジアムの入り口そばでは、デモ隊と警察の双方がそれぞれのバリケードの後ろに身をかがめてにらみ合い、一触即発の緊張が高まっている。

 デモ隊は、20メートル先に構えている警察めがけて、丸石舗装の道路から掘り出した石や火炎瓶を投げつけた。これに対し警察はスタングレネード(殺傷力のない手投げ弾)の他、時にはゴム弾や催涙ガスも使って応酬した。

 ヤヌコビッチ大統領は、国営テレビで放送された国民向けの演説で今回の衝突発生後初めて発言し、「このような現象は、キエフだけでなくウクライナ全土に対する脅威だと確信している」と述べ、「対話と歩み寄り、そして冷静」を呼び掛けた。

■ティモシェンコ前首相はデモ隊への支持表明

 ボクシングの元チャンピオン、ビタリ・クリチコ(Vitali Klitschko)氏やアルセニー・ヤツェニュク(Arseniy Yatsenyuk)氏といった野党指導者らは、デモ隊の強硬派に対し影響力を持っていないとみられ、強硬派の行為への支持も表明していない。

 しかし現在服役中のユリヤ・ティモシェンコ(Yulia Tymoshenko)前首相は、警察と衝突しているデモ隊について、もし自分も可能であれば参加しているだろうとして、支持する姿勢を示した。同前首相の報道官がAFPに対して読み上げた声明で前首相は、「ウクライナを守って下さい、何も恐れないで下さい。ウクライナを守ってくれるのはあなた方しかいません。あなた方は英雄です」と語った。(c)AFP/Dmytro GORSHKOV, Stuart WILLIAMS