【1月15日 AFP】(一部更新)イラクで15日、首都バグダッド(Baghdad)を中心に、葬儀を標的とした自爆攻撃や複数の自動車爆弾の同時爆発などが相次ぎ、少なくとも73人が死亡した。当局が発表した。また、同国西部アンバル(Anbar)州では同日、反政府派の武装勢力が治安部隊からさらに多くの地域を奪取した。

 同日相次いだ爆弾攻撃は、主にバグダッド市内で発生。治安当局と医療関係者らによると、合わせて46人が死亡、数十人が負傷したという。

 バグダッド市内では、イスラム教シーア(Shiite)派が多い地区や複数の宗派が共存する地区で民間人を標的にした9つの自動車爆弾が爆発し、37人が死亡した。爆弾のうち1つはにぎやかな市場に、もう1つはレストランの前に仕掛けられていたという。

 一方、異なる宗教の信仰者が居住し治安の悪化が目立つバグダッド北郊のディヤラ(Diyala)州では、葬儀を標的とした自爆攻撃が発生。当局者によると、16人が死亡、20人が負傷したという。

 この日行われていたのは、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)に対抗していたイスラム教スンニ派(Sunni)の部族による治安組織「覚醒評議会(Awakening、サフワ、Sahwa)」のメンバーの葬儀だった。サフワは、国内での反体制勢力の台頭を抑えるため2006年から米軍に協力しており、その結果同じスンニ派の武装勢力から裏切り者とみなされて頻繁に攻撃の標的となっている。

 この他、北部モスル(Mosul)周辺でも、同様の攻撃で兵士9人を含む13人が死亡している。バグダッド北郊では、ムクダディヤ(Muqdadiyah)でれんが工場の従業員7人が武装集団に銃殺された他、シーア派(Shiite)が多く住む町ドゥジャイル(Dujail)で車爆弾が爆発し、4人が負傷した。

 イラクは現在、宗派間抗争で数千万人の死者を出した2005~07年以来最悪の治安状態に陥っており、数か月後に歴史的な総選挙を控えた政府は難しい対応を迫られている。(c)AFP