【1月3日 AFP】人類初の火星コロニー建設を計画するプロジェクトが募集した火星への片道旅行で、世界140か国、約20万人の応募者から実際の訓練を受ける1058人の候補者が選ばれた。プロジェクトを進める非営利企業「マーズ・ワン(Mars One)」が2日、明かした。プロジェクトにはオランダのリアリティー番組が一部出資しており、候補者たちの訓練の様子や、その後の火星への歩みを番組が追いかける。

 オランダに拠点を置くマーズ・ワンによると候補者は最終的に24人に絞られ、2024年から6回に分けて打ち上げを実施し、それぞれ火星に向かう。

 このプロジェクトの唯一の難点は、5500万キロ離れた火星に6か月かけて到達する旅のチケットが片道であることだ。往復では費用があまりに莫大になるためだ。

■「幸運」な選ばれし者たち

 マーズ・ワンによると、選ばれた1058人には昨年12月30日に通知。「不屈の精神、的確な判断力、遊び心を備え、病歴および麻薬使用歴がなく、英語を話すことができ、惑星間移住開拓者の一員となる基準を満たすとみられる幸運な方です」と伝えたという。

 マーズ・ワンの共同創設者でありエンジニアで起業家でもあるオランダのバス・ランスドルプ(Bas Lansdorp)氏によると、応募者20万人から1058人の候補者を絞る上での課題は、人類初の火星大使となるための肉体的かつ精神的な適応性を備えた応募者と、明らかにプロジェクトを真剣に考えていない応募者とを判別することだった。中には、自身の裸体映像を送ってきた応募者も数人いたという。

 マーズ・ワンの医療責任者ノーバート・クラフト(Norbert Kraft)氏によると、選ばれた候補者たちは今後2年間、肉体および感情面の能力評価に重点を置いたシミュレーションに参加する。その多くはチーム環境で行われる。

■資金調達も課題

 マーズ・ワンは昨年12月、米ロッキード・マーチン・スペースシステムズ(Lockheed Martin Space Systems)と着陸船の設計研究で25万ドル(約2600万円)の契約を結んだと発表。試作機の無人試験飛行を2018年に予定しているという。

 プロジェクトの予算総額は60億ドル(約6300億円)で、マーズ・ワンでは出資者や資金提供者をさらに増やしたい考えだ。(c)AFP/Maude BRULARD