【12月31日 AFP】イラクの首都バグダッド(Baghdad)の西に位置するアンバル(Anbar)州の州都ラマディ(Ramadi)で30日、治安部隊がイスラム教スンニ(Sunni)派のアラブ人らが1年にわたって運営してきたデモキャンプの排除に乗り出し、その際の衝突で武装勢力の10人が死亡した。これにより、イラクで少数派のスンニ派の怒りが再燃する恐れがある。

 ラマディ市の病院の医師によると、死亡した10人の他に30人が負傷したという。激しい戦闘が繰り広げられる中、モスク(イスラム礼拝所)では信者らに「聖戦に臨め」と呼び掛けられた。武装勢力は後に、デモキャンプ近くの複数の通りを治安部隊から奪還した。

 この衝突発生後、国会議員44人が辞意を表明。ラマディ市では2日前の28日にも、治安部隊がスンニ派の国会議員を自宅で逮捕し、その際に複数の死亡者が出たばかりだった。辞意を表明した議員44人は、軍の撤退に加え、28日に逮捕されたスンニ派議員の釈放を要求している。

 ヌーリ・マリキ(Nuri al-Maliki)首相の報道官は、同デモキャンプのテントは撤去され、隣国ヨルダンとシリアにつながる幹線道路の閉鎖も解除されたと発表。同報道官はAFPに対し、この際に「死者は出ておらず、同キャンプから国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)のメンバーらが市内へ逃げ出したが、現在行方を追っている」と伝えた。マリキ首相は22日、アンバルのデモキャンプが「アルカイダ指導部の拠点と化している」と語っていた。

 影響力のあるスンニ派アラブ人でラーフィウ・イーサーウィー(Rafa al-Essawi)財務相(当時)の警備担当者がテロ容疑で逮捕されたことを受けて、スンニ派アラブ人が多い地域で昨年末からデモが行われていた。スンニ派信者の間でこの逮捕は、シーア派が主導するイラクの現政権が、スンニ派指導者を標的にしていることを示す1つの例だとみなされていた。(c)AFP/Azhar Shallal