【12月13日 AFP】スペインのカタルーニャ(Catalonia)自治州政府は12日、スペインからの分離独立の是非を問う住民投票を来年11月9日に行うと発表した。スペイン政府はこの住民投票を「歴史的な誤り」として、阻止する構えを示している。

 アルトゥル・マス(Artur Mas)自治州首相が率いる同州最大の政党カタルーニャ同盟(CiU)の主導により、同自治州の複数の政党が、住民投票で「カタルーニャは国家となるべきか」「もしもそうとすれば、その国家は独立すべきか」の2点を問うことで合意した。

 これに対しスペイン政府は、そのような住民投票は違憲だとして、スペインの分裂を容認することを拒否している。アルベルト・ルイス・ガリャルドン(Alberto Ruiz Gallardon)法相は報道陣に対し「わが国の憲法では、国家主権に影響し、国民全員に影響する協議または住民投票を実施することは、いかなる地方にも認められていない」として、「投票は実施されない」と断言した。

 独自の言語と文化を誇りとするカタルーニャ自治州の人口は750万人。その多くは不況の中、同自治州から徴収した税金を中央政府が国全体に再分配しているために、不当に搾取されているという印象を抱いているとされる。同自治州は、スペイン国内総生産(GDP)の5分の1、輸出額ではそれ以上の割合を担っている。

 マス氏は自治州内の税収を地元に還元できるよう、自治州政府の権力強化を目指したが、中央政府のマリアノ・ラホイ(Mariano Rajoy)首相がこれに反対したため、独立を求める声がさらに強まった。

 カタルーニャ自治州内で行われた最近の世論調査によると、自治権の強化もしくは完全な独立を求める人の割合は、スペインの自治州としてとどまることを希望する人よりも圧倒的に多かったという。「カタルーニャの日」である9月11日には、数十万人のカタルーニャ人が手をつないで自治州を横断する「人間の鎖」をつくり、独立を訴えた。(c)AFP/Daniel Bosque