指輪物語「中つ国」の気候をシミュレーション、英ブリストル大
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【12月10日 AFP】『指輪物語(Lord of the Rings)』で知られる英作家J・R・R・トールキン(J.R.R Tolkien)のファンタジー小説の舞台「中つ国(Middle-earth)」の環境を、英国の科学者らがコンピューターでシミュレーションした。
英ブリストル大学(University of Bristol)のチームが行った研究によれば「『中つ国』の気候区分は、欧州やアフリカ北部と同様だ」という。
小柄で足が毛深いキャラクター「ホビット(Hobbit)」たちが、「中つ国」の中で多くの集落を作っている「ホビット庄(Shire)」の気候は、東欧の国ベラルーシや、英イングランド東部リンカンシャー(Lincolnshire)州やレスターシャー(Leicestershire)州に近く、「モルドール(Mordor)」の国は年間の平均気候が、米ロサンゼルス(Los Angeles)やテキサス(Texas)州、豪アリススプリングス(Alice Springs)とよく似ているという。
また「霧ふり山脈(Misty Mountains)」の東側は乾燥した気候だ。山々の頂上が非常に高いため、水分を含んだ風が山脈を越えられず、風下側で雨が少ない「雨陰」(ういん)という現象が起きるためだ。
「中つ国」南部の沿岸部、特に「ベルファラス湾(Bay of Belfalas)」では西から東へ向かって吹く強い偏西風がみられる。逆に『中つ国』北部では、偏東風が吹いている。「中つ国」の1種族の「エルフ(Elves)」が「不死の国(Undying Lands)」へ西方に旅立つ船を「灰色港(Grey Havens)」から出航するのは、この港が偏東風の吹く地域に位置していることで説明できる。
このシミュレーション(http://www.bris.ac.uk/news/2013/10013.html)は、地球温暖化の傾向を予測する高度な気象モデル「HadCM3L」を使い、研究者たちが空き時間を使って進めたという。結果を発表した論文の著者名は『指輪物語』に登場する魔法使い「茶のラダガスト(Radagast the Brown)」となっており、論文は英語の他に「エルフ語」や「ドワーフ語」にも「翻訳」されている。(c)AFP