【12月4日 AFP】英国の植民地支配が終焉を迎えていた時期、同国政府が国の植民地政策に関連する機密文書を破棄するよう地元の当局者に指示していたことが、英国国立公文書館が11月29日に公開した公文書で明らかになった。

 公開された外務省の公文書によると、英政府は「Operation Legacy」の名のもとに、ケニア、ウガンダ、マレーシア、タンザニア、ジャマイカ、その他の植民地の当局者に対し、「英政府を辱める恐れがある」文書の破棄方法を指示したという。

 公文書には、シンガポールにある英国王室海軍の焼却炉で周辺地域から集められた数多くの文書が処分されたこと、沿岸部からできる限り離れた海流の穏やかな深海に文書が沈められたことについての記載もあった。

 英紙タイムズ(Times)が報じたところによると、1961年にケニアから送られたある文書には、安全保障政策における「不正な」部分を扱う委員会が設立されたと記されていた。この委員会は、当時植民地だったケニアに関する機密文書の「洗浄」が目的だったという。

 英政府は2013年6月、ケニアで1950~60年代にあった民族独立闘争「マウマウ団の乱」で、拷問や虐待を受けた5200人以上に対する補償として1400万ポンド(約23億5000万円)を支払うことで合意している。

 英ウォリック大学(University of Warwick)のデービッド・アンダーソン(David Anderson)教授(アフリカ史専門)はAFPに対し、文書破棄が植民地時代の終わりに向けた規定どおりの手続きだったとする英国政府の主張が嘘であったことが判明したとし、「これが通常の法的な手続きだと偽ることはもうできない。文書の存在を否定し、偽るよう当局者に指示していたことが明らかになった」と指摘した。

 当時の英植民地省が1961年5月3日に打った電報には、新たに誕生した現地の政府に文書が渡ることを回避するための全般的なガイダンスが記された。

 ガイダンスには、警察や軍部の当局者などが辱められる可能性がある場合や諜報当局に機密が漏れる恐れがある場合、もしくは現地の新政府によって「倫理に反する形」で利用される恐れがある場合には文書を破棄すべきとの指示があった。

 アンダーソン教授は、外務省にはこの他にも非公開の文書が120万点あることを指摘し、これら文書の公開に向けた各方面からの働きかけがあることを説明した。 (c)AFP