【12月1日 AFP】タイの首都バンコク(Bangkok)で30日、インラック・シナワット(Yingluck Shinawatra)首相の退陣を求める反政府デモが暴力に発展し、1人が死亡、21人が負傷した。政府は主要な国営ビルを守るために軍を配備した。

 現場にいたAFPのカメラマンによると、バンコクで緊張が高まる中、市内のラームカムヘーン(Ramkhamhaeng)地区にあるスポーツスタジアムで開かれる集会に向かっていた政府を支持する「赤シャツ隊」を乗せたバスに向かって、反政府派のデモ隊が石などを投げたという。

 反政府派のデモ隊は、7万人以上の赤シャツ隊が集まった同会場近くで警察に瓶を投げつけた。首都の主要な観光地に暴力の影響はなかった。

■発砲で1人死亡

 警察によると、スタジアム付近でその後、発砲があり、最近の抗議デモでは初めてとなる死者を出した。詳しい状況は明らかにされていない。

 現場に近い警察署の職員によると、「21歳の男性が、体の左側に2発の銃弾を受けて死亡した」という。

 市内のエラワン(Erawan)救急センターの関係者によると、他にも21人が銃撃や刃物で刺されるなどして負傷したという。

 しかし、新たな衝突を避けるためにスタジアムで夜を明かすよう赤シャツ隊の指導者が支持者らに呼び掛けたため、1日午前0時までに事態は沈静化したとみられる。

 推定18万人が参加して反政府デモが行われた11月24日以降、デモ参加者の数は急減しているが、デモ隊は高い注目を集めるような行動を取るようになっている。専門家らは軍事クーデターを招くことを狙っているのではないかと指摘している。

 デモ隊は30日、首相官邸のインラック首相の執務室を守るために築かれていたバリケードを、砂袋を積み上げて突破しようとしたが、警察に阻止された。インラック首相は当時その場にいなかったとみられる。(c)AFP/Thanaporn PROMYAMYAI