【11月29日 AFP】米国で12月25日に公開が始まる映画『August: Osage County(原題)』で、主演のメリル・ストリープ(Meryl Streep)は、がんを患い、薬物依存症で傲慢(ごうまん)な女性の役を見事に演じている──ニューヨーク(New York)で25日に行われた試写会後の記者会見では、大喝采を浴びたストリープに対して、この役を演じることがどれだけ大変だったのかと質問が相次いだ。

 ストリープ演じるヴァイオレット・ウェストン(Violet Weston)はさまざまな問題を抱えた家族に威圧的な態度で接し、あざけり、侮辱する「女家長」のような女性だ。作品では、葬儀をきっかけに、ヴァイオレットが暮らすホクラホマ(Oklahoma)州の家に家族が集まるのだが──。

 最も難しかった場面の1つに、車の後部座席で嘔吐(おうと)する場面を挙げたストリープ。今回の役は難しいがやりがいのある、まさに役者冥利(みょうり)に尽きるものだったと述べた。

 ストリープは撮影について「妊娠の経験があるなら、そのことを思い起こすかもしれない。スーダンでの救済活動とも違い、とても満足いくものだった」と振り返った。また「抵抗して大騒ぎしながら苦痛の家に引きずり込まれるのだけど、実際はそこにいることを心地よく感じていた」と話した。

 ヴァイオレットの子どもである3姉妹を演じるのはジュリア・ロバーツ(Julia Roberts)、ジュリアンヌ・ニコルソン(Julianne Nicholson)、ジュリエット・ルイス(Juliette Lewis)だ。

 ワインスタイン・カンパニー(Weinstein Company)が製作するこの映画の原作は、トレイシー・レッツ(Tracy Letts)氏によるピュリツァー賞(Pulitzer Prize)受賞の同名の戯曲だ。映画の脚本も手掛けたレッツ氏は、自身の目に「怪物」のように映ったという自らの祖母がヴァイオレットのモデルとなっていることを明らかにしている。

 映画の撮影期間中、出演者らは隣接するタウンハウスに住み込み撮影に臨んだ。映画の鍵を握る夕食のシーンは、ストリープの家で開催した「持ち寄りパーティー」でリハーサルを行ったという。夕食のシーンでは母親の侮辱に耐えかねたロバーツ演じる娘がヴァイオレットを床に押し倒す場面もある。(c)AFP/Jennie MATTHEW