【11月19日 AFP】米中央情報局(CIA)の元職員エドワード・スノーデン(Edward Snowden)容疑者が暴露した米機密情報により、他国に対する各国情報機関の「スパイ」行為が相次いで明らかになる中、インドネシアのスシロ・バンバン・ユドヨノ(Susilo Bambang Yudhoyono)大統領は19日、米当局と連携し電話を盗聴していたと報じられている豪州との協力関係を見直していることを明らかにした。

 発端となったのは、豪放送局ABCと英紙ガーディアン(Guardian)にリークされた文書。この文書には、ケビン・ラッド(Kevin Rudd)氏が豪首相だった労働党前政権下の2009年8月、豪政府の通信傍受機関が15日間にわたってユドヨノ大統領の電話を盗聴していたことが示されていた。さらに報道によると、豪側が盗聴目標としていたのは、ユドヨノ大統領夫人やブディオノ(Boediono)副大統領、ユスフ・カラ(Jusuf Kalla)前副大統領、外務省報道官、治安相、情報通信相など計10人の要人に及んでいた。

 インドネシアは18日、豪政府によるこの「スパイ行為」疑惑に「驚愕した」とし、在豪大使を召還した。これを受けてトニー・アボット(ony Abbott)豪首相は翌19日、「豪州にとって親友の1人であるユドヨノ大統領を、このところのメディア報道が困惑させていることを遺憾に思う」と述べたが、直接説明や謝罪を行う意思は示していない。

 このアボット豪首相の発言を前に、ユドヨノ大統領は「豪州による害のある行為が原因で、インドネシアは2国間関係について見直しを行っている」と述べ、さらに「また、インドネシアにおける盗聴を些細な問題と捉え、何の悔悟の念も示していない豪首相の声明も非常に嘆かわしい。米国と(連携した)豪州の行為は、インドネシアとの戦略的パートナーシップを非常に損なうものだ」と非難した。

 インドネシアと豪州の両国は戦略的パートナーとして、また貿易相手国として互いに重要な存在で、テロリズムへの対策や、インドネシア経由で豪州へ向かう難民の流入に関する困難な問題を含む多くの分野で長年協力してきたが、先に明らかになったアジア各国の豪大使館を拠点とした通信傍受問題に加え、今回、インドネシア要人の電話盗聴が暴露されたことで両国関係はさらに緊張が見込まれる。(c)AFP/Sam Reeves