【11月18日 AFP】シリアの化学兵器全廃に向け、関連施設に査察団を派遣している化学兵器禁止機関(Organisation for the Prohibition of Chemical WeaponsOPCW)は15日、オランダ・ハーグ(Hague)で執行理事会を開き、シリアが保有する化学兵器を2014年半ばまでに全廃する目標の達成に向けた最終的なロードマップ(行程表)を採択した。OPCWの広報担当者がAFPに明かした。

 米国によるシリアへの攻撃を回避するための米露間の合意に基づき、OPCWは同日を期限として化学兵器の「全廃に向けた具体的計画」を策定することになっていた。41人のメンバーが出席した理事会は、期限まで残りわずか数時間でようやく合意に至る形となった。

■化学物質はまず国外に搬出

 バッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領が率いるシリア政府は危険性の高い化学物質を国内に1000トン以上保有している。OPCWの声明によると、シリアの化学物質は米露の合意に基づき、「最も安全かつ迅速な方法で」廃棄されるようにするため、国外に搬出された上で廃棄される。また、シリア側が申告した化学兵器製造設備は「危険性の度合いに基づき」、今年12月15日から来年3月15日までに破壊される予定だ。

 シリアが保有する化学物質と先駆物質は、神経ガス・サリンの製造に使用可能なイソプロパノールを除き、来年2月5日までにほぼ全てが廃棄されなければならない。その後は重要度に応じて分類した上で、最も重要な化学物質は今年末までに、その他の重要度の高い化学物質は来年4月までに廃棄される。また、全ての化学物質の廃棄期限は来年6月30日とされた。

 ただし、OPCWのアフメト・ウズムジュ(Ahmet Uzumcu)事務局長の政治顧問は記者団に対し、これらの化学物質を廃棄する場所が未定であることを認めている。これまでに候補地として打診を受けたアルバニアやノルウェーは、受け入れを拒否したことが明らかになっている。

 米政府はフランス、ベルギーにも受け入れを依頼したとみられている。(c)AFP/Jan HENNOP