【11月11日 AFP】地球温暖化の懐疑論者たちが自身の主張を後押しするものとして引き合いに出す「地球温暖化の減速」の一部は、世界で最も成功している環境条約の1つによって誘発されたとする研究論文が10日、英科学誌「ネイチャー・ジオサイエンス(Nature Geoscience)」に発表された。

 メキシコ国立自治大学(National Autonomous University of Mexico)の大気物理学者、フランシスコ・エストラーダ(Francisco Estrada)氏率いる研究チームが発表した論文によると、地球を保護するオゾン層を破壊する工業ガスなどの物質の段階的削減を目的に策定された国連(UN)の「モントリオール議定書(Montreal Protocol)」は、同時に地球温暖化に小さな歯止めをかけることにもなっているという。

 この議定書がなければ、現在の地球の表面温度は約0.1度高くなっていただろうと研究チームは指摘する。論文は「逆説的な話だが、人間が気候システムに影響を与えることができない証拠として地球温暖化の懐疑論者らが示す、近年の温暖化の減速には、直接的な人為的要因がみられる」と述べている。

 1987年に採択され、1989年に発効したモントリオール議定書は、塩素および臭素を含有する化学物質群の削減を締約国に義務づけている。エアゾールスプレー、溶剤、冷却剤などに使われているこれらの物質は、成層圏に存在し、がんの原因となる紫外線を吸収するオゾン層を破壊する。また、この種の化学物質の中には、太陽熱を強力に吸収する性質を持つものがあるために、図らずも強烈な温室効果ガスになるものもある。

 1990年代に効果が出始めたこれら化学物質の段階的削減は、気候変動との闘いにおいて小さいながらも目に見える進展になったと研究チームは指摘する。1998年~2012年、地球全体の平均温度は10年当たり平均0.05度の割合で上昇した。過去50年間の10年当たりの平均上昇率の0.12度と比べると、この値は非常に小さく、増加傾向が続いている温室効果ガスの排出量と一致しない。

 その結果、15年間の温暖化の「停滞」は、気候変動が自然的要因に由来する証拠であり、化石燃料排出量の削減を求める環境保護の声には不備があり、詐欺に等しいことを示していると懐疑論者らは主張している。

 研究チームは今回の論文で、20世紀における炭素排出と温暖化の統計的な比較を行った。20世紀全般では、気温は0.8度上昇した。(c)AFP