【10月29日 AFP】芝刈りや洗車などの簡単な作業を行うと、60歳を超えた人々の心臓発作や脳卒中のリスクが約30%減少する可能性を示す研究報告が29日、英スポーツ医学誌「ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・スポーツ・メディシン(British Journal of Sports Medicine)」に発表された。

 スウェーデンで行われた研究によると、家の周りで身体的な活動を行っている高齢者は、ジョギングやスポーツジムに通うなど「正式な」運動をしているかどうかに関係なく、座ってばかりいる人に比べて長く健康でいられることが分かったという。

 一般的に活動的な日常生活は、定期的に運動をしているかどうかにかかわらず、高齢者の心循環系の健康と寿命に関係しているという。

 長時間座ったままだと健康を害するリスクがあり、定期的な運動が健康に良いことはこれまでにも証明されてきたが、「非運動性身体活動(Non-Exercise Physical ActivityNEPA)」が良好な健康状態に寄与していることは十分に理解されていない。

 今回の研究の対象となったのは、1997~99年の間に60歳だったスウェーデン人約4000人で、その後平均12年半にわたって健康状態を追跡調査した。調査では対象者が、家の修理、芝刈りや生け垣の手入れ、車の修理、狩猟や魚釣り、サイクリング、キノコやイチゴの採取などの活動をどれくらいの頻度で行ったかを記録した。なお、アルコール摂取や教育レベル、喫煙習慣、食生活といったその他、結果に影響を与える可能性のある日常生活の要因も考慮した。

 その結果、正式な運動を除く高レベルな身体活動を行った人々は、活動的でない人々に比べて心循環系の疾患にかかる確率が27%低く、またあらゆる原因において死亡するリスクが30%低いことが分かった。

 報告によれば、この結果は定期的に正式な運動をしているが、NEPAレベルが低い人々の結果に比べて「有意な差」はなかった。また正式な運動と高レベルな身体活動の両方を行っている人のリスクは最も低かった。(c)AFP