【10月23日 AFP】メキシコ政府は22日、エンリケ・ぺニャニエト(Enrique Pena Nieto)現大統領とフェリペ・カルデロン(Felipe Calderon)前大統領の電子メールに米国政府が不正アクセスしていたとの報道を受け、当局に調査するよう命じたことを明らかにした。暴露された米国の情報収集活動は同盟国間での外交問題にも発展している。

 フランス紙ルモンド(Le Monde)も今週、「米国家安全保障局(National Security Agency, NSA)が一般市民の通話およそ7000万件を極秘に記録していた」と報じたばかり。米国とフランス、メキシコはテロ捜査から「麻薬戦争」に至るまで、あらゆる側面で協力関係にある同盟国だが、米政府に対する両国の不信感は、米国を苦しい立場に追い込んでいる。

■メキシコ政府は不信感あらわに

 独ニュース週刊誌シュピーゲル(Der Spiegel)は20日、「NSAが数年間にわたって、メキシコ政府へのスパイ活動を行っていた」と伝え、同国大統領に対する米の情報収集活動を報じた。ジャーナリスト、グレン・グリーンウォルド(Glenn Greenwald)氏も先月、NSAがぺニャニエト大統領の通信を傍受していたことを明らかにしている。

 自身に対する情報収集活動の報道を受け、ぺニャニエト大統領は「徹底的に」調査するよう当局に命じた。カルデロン前大統領への情報収集活動についても併せて調査するとしている。ミゲル・アンヘル・オソリオ・チョン(Miguel Angel Osorio Chong)内相によると、情報収集活動の実態、さらには国内の共謀者の有無ついても調べる方針だという。

 米政府の一連の行為について、カルデロン前大統領は「メキシコ政府機関に対する侮辱」と非難した。

■問題拡大を望まない仏政府

 フランスでは、ローラン・ファビウス(Laurent Fabius)外相がジョン・ケリー(John Kerry)米国務長官と会談し、NSAの情報収集プログラムについて説明を求めた。ファビウス外相は、この会談で「同盟国を対象にしたこのような行為は到底受け入れられないと伝えた」ことを明らかにした。

 しかし、仏政府のナジャット・バロベルカセム(Najat Vallaud-Belkacem)報道官は、NSAの活動への何かしらの措置を検討しているかとの記者からの質問に対し「問題を大きくする必要はないと思う」と答えていることから、同国政府がこの問題を早期に沈静化させたい考えであることがうかがえる。

「互いを尊重する関係を各国が維持しなくてはならない。信頼感がぐらついたのは確かだが、重要なのは仏米両国の密接な関係だ」

■米側の対応は──

 NSAが仏国内で7000万件を超える市民の通話を傍受していたとルモンドが伝えたことについて、ジェームズ・クラッパー(James Clapper)米国家情報長官は、同紙の報道には「不正確で誤解を招く恐れのある情報」が含まれていると批判している。

 長官は声明を発表し、ルモンドの報道が「間違っている」と主張。一方で米国の活動の詳細については明らかにしないと明言している。そのうえで「米国は長年にわたるフランスとの友好関係、同盟関係を重視しており、今後も安全保障や情報関連の問題について協力関係を維持していく」と述べた。(c)AFP/Laurent THOMET