【10月17日 AFP】世界中のイスラム教徒たちが犠牲祭「イード・アル・アドハ(Eid al-Adha)」をごちそうで祝う中、シリアの首都ダマスカス(Damascus)周辺では、政府軍に包囲された反体制派制圧地域に閉じ込められた子どもたちが、飢えに苦しんでいるという。

 NGOからの情報によれば、いくつかの地区では深刻な栄養不足のため、子どもたちが命を落している。さらに、あるイスラム教聖職者は犬や猫の肉を食べることを認める宗教令を発布したことを、AFPの取材に明かした。

 イスラム教徒の子どもにとって、「イード・アル・アドハ」は、特別に用意されたごちそうを家族一緒に食べたあと、新しい服をもらい、友達と遊ぶための祭日だ。

 だがダマスカス南西にあるモアダミヤ地区(Moadamiyet al-Sham)では「もちろん、イードを楽しめる子どもたちはいない」と、活動家のアブ・マレク(Abu Malek)さんは語る。同じく活動家のアブ・ハディ(Abu Hadi)さんも「ため込んでいた食料ももうなくなってしまった。誰もが果樹園や道ばたで野菜を育てている」と話す。

 同地区では、見るからに栄養失調に陥った子どもたちのショッキングなアマチュア映像が撮影され、活動家らによってネット上で拡散されている。映像の一つには、青白い肌の下から肋骨と頬骨が浮き上がり、目の周りに隈ができた姿で担架に横たわる、イブラヒム・ハリル君という名の男の子が撮影されている。

 また別の映像では、赤ちゃんのきょうだい2人がいる女の子が、家族がミルクを手に入れられるように助けを求めている。「道があって…その道が封鎖されていて…一体どうすればいいの?赤ちゃんにミルクをあげているのですが、もう期限が切れてしまっているんです」。赤ちゃんが泣き叫ぶ中、女の子は訴える。

「イード・アル・アドハ」が始まる前日、ダマスカス南部に住むイスラム教聖職者のシェイク・サレハ・ハティブ(Sheikh Saleh al-Khatib)師はAFPの取材に対し、ある男性が空腹のあまり犬の肉を食べた事例が最近あったことを明かし、「われわれは犬や猫の肉を食べても良いという宗教令を出した。これは宗教的に認められているからではなく、われわれが置かれている現実を鑑みての判断だ」と語った。

 ハティブ師は9日間にわたりハンガーストライキを行っているといい、「人々は自分たちの子どもに与える食べ物がない。他の人が少しでも食べられるよう私はハンストをしている」と述べた。(c)AFP/Serene ASSIR