【10月17日 AFP】米当局による監視プログラムの暴露記事を英紙ガーディアン(Guardian)に執筆してきた米国人記者、グレン・グリーンウォルド(Glenn Greenwald)氏が15日、構想中の「夢のプロジェクト」のためガーディアン紙との契約を解消すると発表した。これについてインターネット競売大手イーベイ(eBay)の創設者が、同氏のプロジェクトへの支援を表明している。

■「記者を支援する」プロジェクトで協力

 イーベイ創設者のピエール・オミダイア(Pierre Omidyar)氏は16日、調査報道を専門とするグリーンウォルド氏と、ジャーナリストの「地位を高め支援し、真実が追究できるようにする」プロジェクトを支援すると発表した。詳細は現在検討中だが、これまでオミダイア・ネットワーク(Omidyar Network)やデモクラシー・ファンド(Democracy Fund)を通じて行ってきた従来の慈善活動とは切り離したプロジェクトになるという。

 フランス生まれのイラン系米国人のオミダイア氏は、声明で「社会の中でジャーナリズムが果たす役割を守り、強化したいという思いが強くなった」と説明。先ごろジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)氏が買収した米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)について、自らも買収を検討していたことや、その過程で同様の投資を全く新しい「何か」に行ったらどんな社会的影響があるか考えたことを明らかにした。

 オミダイア氏によると、グリーンウォルド氏に接触して「同氏のようなジャーナリストが良い仕事をするうえで何が必要かを聞こうとした」が、その際に同氏がローラ・ポイトラス(Laura Poitras)氏やジェレミー・スケイヒル(Jeremy Scahill)氏ら記者仲間と計画中のプロジェクトの存在を知ったという。 「互いの持つアイデアに似ている点が多かったので、協力することを決めた」とオミダイア氏は述べている。

■「全く新しい報道媒体」創設に言及

 これに先立ち、ブラジル在住のグリーンウォルド氏は声明で、ガーディアン紙を離れることについて「容易な決断ではなかったが、記者として一生に一度の夢のような機会を与えられた。断ることができるジャーナリストなどいないような機会だ」と説明していた。

 グリーンウォルド氏のこの「夢のプロジェクト」については、インターネット・ニュースサイト「バズフィード(BuzzFeed)」が最初に伝えたが、詳細な説明はなく、グリーンウォルド氏の声明も時期尚早だとして具体的な内容には踏み込んでいない。

 ただ、グリーンウォルド氏はバズフィードに、プロジェクトは「潤沢な資金を得て、非常に充実した内容の新しいメディア媒体になる」とコメント。「私の役割は、記事を書いて報じることは別とすれば、同じジャーナリズム魂を共有する記者や編集者を採用して全く新しい報道媒体を創設することだ。特に政治報道の分野で、私が最も尊重するジャーナリズムのイメージの中で新しいものを作り出していきたい」と述べている。(c)AFP