【10月17日 AFP】これまで見つかった中では最古の完全な中枢神経系を、5億2000万年前に生息していた奇妙な生物の化石で確認したと、米アリゾナ大学(University of Arizona)などの研究チームが16日、発表した。

 体長わずか3センチのこの生物は、生物多様性が爆発的に増えたカンブリア紀に生息していた「大付属肢動物」と呼ばれるはさみを持った海洋生物の仲間。化石は、中国雲南(Yunnan)省南西部にある地層で発掘されたもので、神経や眼球、脳、神経節が細部まで保存されているという。

 神経系は、コンピューター断層撮影(CT)を使って3D画像化された。これにより、他の現生動物や古代生物との比較が可能になるという。

 またこの発見により、現代のクモやサソリなどの鋏角(きょうかく)類の祖先が、どの時代に甲殻類やヤスデなどの他の節足動物から枝分かれしたかが推測できるという。

 研究を率いたアリゾナ大のニコラス・ストラスフェルド(Nicholas Strausfeld)教授(神経科学)は「大付属肢動物が、現代のカブトガニやサソリと非常に似た中枢神経系を持っていたことが分かった。これはつまり、クモやその仲間の祖先が、カンブリア紀前期に甲殻類の祖先と同じ時代に生きていたことを意味している」と話している。

 論文は英科学誌ネイチャー(Nature)に掲載される。(c)AFP